国際仏教学大学院大学
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発表要旨

落合 俊典 (国際仏教学大学院大学 教授)
「唯識論序と大乗唯識論序」

 大正蔵所収の真諦訳『大乗唯識論』に撰者名のない序文が付せられている。宇井伯壽博士はこれを真諦の弟子慧愷の撰とするが、その根拠を明らかにされておられない。そもそも『大乗唯識論』には慧愷の後序が見られ、前序をも草することは甚だ理解に苦しむところである。また内容から見ても真諦訳の出来る数十年前に成った菩提流支訳『唯識論』と一致する文言が記され真偽が問われるところである。
 一般的に古い訳に新訳を出そうとする場合は旧訳を否定することが通常である。まして序文は訳者以外の人物が綴るものであるから、前訳の欠陥を論うことまでに至らなくとも賞賛することはあり得ない。この「大乗唯識論序」は前訳を讃嘆しているわけではないが、前訳の文を引用し解説しているのである。これは異としなければならない。
 そこで筆者は奈良時代に唐から伝来した古写経の系譜を引く平安・鎌倉写経に解決の糸口を探り、資料の収集に努めた。幸いこの問題を解決する古写経二点を発見したのでそれらを紹介し、大正蔵の問題点を指摘したい。



  
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