国際仏教学大学院大学
Home About project Event Publishing Link

  
 
発表要旨

能島 覚 (浄土真宗本願寺派宗学院 研究生)

親鸞の用いた『往生礼讃』
 いわゆる鎌倉新仏教の一祖師と評される親鸞の研究については汗牛充棟ただならぬ蓄積がある。それらのなかでも、数多くの経論疏の要文で綴られた『顕浄土真実教行証文類』(通称『教行信証』)の研究は膨大であり、一々の引用に関する研究も数多行われてきた。今回の考察の対象となる唐代善導撰『往生礼讃』についても既にいくつかの指摘がある。親鸞は『往生礼讃』を直接引用せずに、智昇撰『集諸経礼懺儀』下巻に収められているものを孫引きしたとか、用いた原本は宋版大蔵経によるものだろうなどと論じられている。しかし、どの研究も『大正蔵』などの活字本テキストに頼らざるを得なかったため、それらの論証には自ずと限界が伴っていたことは否定できない。

 このような研究状況のなかで、このたび始動した「奈良平安古写経研究拠点の形成」によって、幸いにも新たなテキストが供与された。従来、取り扱うことのできなかった『集諸経礼懺儀』の古写本である。

1.平安後期写・七寺一切経本

2.平安後期写・妙蓮寺蔵松尾社一切経本

3.鎌倉初期写・興聖寺一切経本

4.鎌倉初期写・金剛寺一切経本

これらは親鸞とほぼ同時代の写本である。したがって、親鸞の引用した『往生礼讃』原本を特定するには格好の材料であり、引用文の分析にも格段の進歩を望めるようになったのである。本発表では『教行信証』に引用された『往生礼讃』文の考証にとどまらず、さらに他の親鸞の著作へも検討を広げていきたいと考えている。

  
About projectHomeEventPublishingLink
Copyright 2000-2004 International College for Postgraduate Buddhist Studies