国際仏教学大学院大学
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    第2回公開研究会発表要旨


佐藤 もな (国際仏教学大学院大学 学術フロンティア研究員)


『七女経』古写本に関する諸問題

 『仏説七女経』一巻(以下『七女経』とする)は現在、支謙訳とされるものが大正蔵14巻におさめられている。ところが現存の経録によれば、『七女経』の漢訳には支謙訳、竺法護訳、聖堅訳の3本があったが、すでに唐代には、支謙訳は失われていたとされ、現存の漢訳の記述とは矛盾が生じる。一方、『経律異相』巻三十四には『七女経』の文章が引用されているが、現存の『七女経』とは異同が多く、現存しない異訳からの引用の可能性が考えられる。
 日本に現存する『七女経』の古写本のうち、七寺一切経本の『七女経』は内容的に支謙訳とほぼ一致するが、金剛寺一切経本の『七女経』は『経律異相』所載のものと似通っている。本発表ではこうした問題を取り上げ、七寺一切経本と金剛寺一切経本を中心に諸本の比較検討を行いつつ、『七女経』の成立事情について考察したい。
  
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