国際仏教学大学院大学
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発表要旨

梶浦 晋 (京都大学人文科学研究所 助手)


日本における一切経書写の歴史 - 現存例を中心として -

 日本へ仏教が伝来したころには、中国ではすでに相当量の仏典が翻訳・著述されており、飛鳥・奈良時代から平安時代にかけて、入唐僧等によって多くの経典がもたらされた。それらにもとづき、日本においても写経がさかんに行われ、個別の経典の書写とともに、仏典の集成である一切経も何度となく書写された。
 日本では、江戸時代の前期に黄檗僧の鉄眼によって大蔵経が開版されるまで、幾度となく一切経の書写がおこなわれてきたが、盛んに行われた時期が二度ある。
 一つは日本に仏教が本格的に移入されはじめた天平時代で、五月一日経など多くの遺品が今日も伝存している。もう一つは、平安時代中期から鎌倉時代にかけての時期で、法隆寺一切経など墨書によるもののほか、中尊寺経など紺紙に金銀泥を用いて書写したものなど多くの一切経が、畿内のみならず各地で書写され、今日まで伝えられたものも少なくない。
 今回の報告では、この二つの時期を中心に、奈良時代から江戸時代にいたるまでの一切経書写の歴史や伝存状況等について紹介する。

  
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