国際仏教学大学院大学
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    第3回公開研究会発表要旨

生駒哲郎
(東京大学史料編纂所図書部史料情報管理チーム・山脇学園短期大学非常勤講師) 


「松尾社一切経の書写-平安時代後期の写本一切経の書写について-」 



 京都の本門法華宗大本山妙蓮寺には、平安時代後期に松尾大社で書写された3500巻余りの『松尾社一切経』が所蔵されている。『松尾社一切経』は、松尾大社の神主であった秦親任・頼親父子発願の十数人の手によって書写された一切経で、奥書等からみると永久3年(1115)から書写を開始し、康治2年(1138)に校合を終了している。
 平安時代後期の書写は、僧を中心とした複数で書写する場合が多い。その際、どのような手順で一連の活動がなされたのかを、検討する。また、一切経の書写が終わると、校正等の作業を行なう。校正は現在の誤字・脱字等を訂正するという意識のみではなく、権威あるとされる経典を底本に用いることにより、新たに書写された経典により功徳が増すという考えで、書写されたと思われる。
 今回は、こうした平安時代後期の一切経の書写のあり方を『松尾社一切経』を通して考察する。

  
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