HOME大学案内学長挨拶

学長挨拶

デレアヌ フロリン 学長 デレアヌ フロリン

本学は平成八年(1996年)年に仏教学研究の進展とその研究者の養成を目指して、一研究科のみの独立大学院として、平川彰博士を初代理事長に開学しました。現在、国際仏教学研究所と日本古写経研究所という二つの研究所を附置し、附属図書館にはほぼ十五万点の仏教文献と関連図書を蔵して、これらによって仏教研究を進めるとともに、有為な人材の育成に努めています。

ご周知のように、仏教は約二千五百年年前にインドで興り、その後、南アジア全土や東南アジア、更にチベット、中央アジア、そして東アジアに流布し、今日、全世界に広まっています。この長い歴史の中、仏教は、国や民族等の壁を越えて、それぞれの地域文化の特徴に応えるべく、多様な変貌を遂げて、強い影響を与えてきました。

本学ではその視点に基づいて、教育研究組織として、南・東南アジア、内陸アジア、東アジア、汎アジアの四つの地域に分けた教員配置とカリキュラム編成を行っています。

教育は五年一貫の博士課程として、学生定員は一学年四名、五学年で二十名の編成による徹底した少人数教育を行っています。学習支援には附属図書館や国際仏教学研究所による支援プログラムもあり、また本学独自の奨学金制度などの経済支援があります。更に、海外からの留学生にはキャンパス内に寄宿舎があり、在学中の便宜をはかっています。

大学のキャンパスは、文教地区の閑静な住宅街の中の、もとは徳川慶喜公の屋敷跡にあって、大樹に囲まれた図書館や講堂、講義研究棟などの建物は、明るく落ち着いた雰囲気で、勉学の環境としては申し分がありません。

仏教学には、文献学的研究と第一次資料に基づく思想史的研究との両面がありますが、本学は文献資料として凡そ入手可能な殆ど全ての一切経と、奈良平安古写経の収集文献データを揃えており、文献研究にも、思想史的研究にも従事することが可能です。仏教の学術的な研究を通じて普遍の真理に迫り、また現代社会が直面している生命倫理や環境問題などを視野に入れて、仏教の文献や歴史、文化などの考察に取り組むことは、学生教員一同の研究基盤となっています。

インドの原語をはじめ、アジア諸国で著述され、また翻訳された文献を厳密に解読し、更に現代研究の最新成果を身に着け、この分野に貢献したいと志した皆様のご活躍を期待し、本学で共に仏教学の道を歩むことは、我々の基本的な勤めでもあり、最大の喜びでもあります。