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本学の理念

国際仏教学大学院大学は国際的に活躍しうる仏教研究者を養成するために設立された。
日本の仏教は、本来、国際的であった。わが国に仏教が伝来して以後も、日本は絶えず海外に広く新知識を求めるとともに、日本に根づいた仏教は日本の土壌において開花し、新たな展開を遂げた。この意味において、日本における仏教の歴史そのものが国際的であった。

また、仏教学においても日本は世界に比類ない意義を担っている。仏教教義学の伝統が 今日まで連綿として保たれているのみならず、精密な文献学的研究の膨大な蓄積がある。さらに明治開国後、欧米の近代的仏教研究との交流のもとに、わが国の仏教研究は一層充実した。

本学はわが国仏教学のかかる歴史的背景を踏まえて、仏教研究の正道にさらに歩を進めることに貢献したい。

他方、現代文明は人類を地球規模において包みこんでいるにもかかわらず、諸学問の極端な細分化と人間活動の多様化との結果として大量の情報が氾濫しているだけで、生命倫理・環境問題に象徴されるように、人はいかに生きるべきかという人類普遍の根本問題を埋没させてしまっている。

現代の歴史的状況が人類に突きつけているこのような課題に応えるために、キリスト教・イスラム教・ヒンドゥー教・儒教・道教、その他の諸宗教に関する知見を深め、宗教問題について国際的に提言できる人材の育成にも努めたい。