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日本古写経研究所

日本には、奈良時代に書写された仏教経典が一千数百巻、また、その奈良時代のものから転写したと想定される平安時代から鎌倉時代の古写経が一万巻以上現存しています。

最近まで、これらの奈良平安古写経は、十世紀以降に中国や朝鮮半島で刊行された刊本一切経と比較して、あくまで補完的なものとして扱われてきました。

しかし、近年の研究成果によれば、これらの奈良平安古写経は、唐代仏典の忠実な複写本であると共に、隋唐仏教の基本的な様相が反映されている極めて重要な文献であることがわかってきました。

この奈良平安古写経は、敦煌の仏教文献群と優に比肩する資料群といえるでしょう。また、日本が世界に誇る漢文大蔵経の活字本である「大正新脩大蔵経」の付加価値を高めるのになくてはならない資料でもあります。しかし、この日本の仏教文化の精華とも称すべき古写経を集大成する計画は全く見られませんでした。海外に流出した古写経も少なくなく、国内国外を含めて、その所在の確認は不十分な状態にあります。

国際仏教学大学院大学は、共同研究機関とともに、国内の寺院・博物館、海外の研究機関や博物館等の協力を得て所在確認を行い、また、デジタル画像の集積によって「貞元入蔵録」の全ての典籍を集大成して復原を図り、東アジア仏教文化の基本典籍における研究拠点となることを目指しています。

日本古写経研究所について

日本古写経研究所は、平成17年度から5年間にわたって国際仏教学大学院大学を拠点として行われた文部科学省の学術フロンティア事業「奈良平安古写経研究拠点の形成」をもとに、さらにその事業を継続・発展させるべく平成22年に新設されました。同年に私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「東アジア仏教写本研究拠点の形成」に採択され、平成26年度まで、国内の寺院、各種機関に残されている古写経を調査し、それらをデジタル撮影し、データベースとして構築してきました。現在はその成果を踏まえ、継続的にデジタル撮影・データベースを更新し続け、現在約5000巻のデジタル画像を収録しております。平成27年度からは『日本古写経研究所紀要』を刊行し、日本古写経や聖教などの研究報告をおこなっております。

日本古写経研究所 メンバー

氏名役職専門
落合 俊典研究所長中国仏教、仏教文献学
前島 信也主任研究員書誌学・仏教文献学・浄土学
*2023年5月1日現在